子宮頸がんは予防ができるがんです。それは子宮頸がんの原因やがんになる過程がほぼ解明されているからです。定期的に検診を受けることで、がんになる前に発見し子宮を失わずに治療することが可能です。しかし、子宮頸がん検診の受診率は欧米で70%以上であるのに対し、日本では20?30%ととても低いのが現状です。検診を受けなかったために、防げるはずのがんになってしまうのはとても残念なことです。
【20代、30代の女性に子宮頸がんが増えている】
感染から子宮頸がんの発症までには長い期間がかかるので従来の発症ピークは40代が多くなっていましたが、最近では20?30代に急増しています。これはこの年代層の検診受診率が低いことと、性体験が低年齢化しているためと考えられています。特に、20歳代の女性で子宮頸がん検診の受診率は11%という極めて低い状況です。
【子宮頸がんの原因は】
子宮頸がんの主な原因は、性交渉によって感染するヒト・パピローマウイルス(以下HPVという)です。
このウイルスは性交渉の経験のある女性であれば、誰でも感染しうるとてもありふれた存在です。HPVに感染しても多くの人の場合、ウイルスは体外に排出されるので一過性の感染に終わります。しかし、その中の約10%の人がウイルスを排除できず、持続感染が続くと、子宮頸部に「異形成」という異常な細胞がでてきます。異形成になってもその一部は自然に消退する場合があります。しかし中には、6?10年もの長い期間を経てがんに進行するものもあります。
【HPV検査とは】
HPVには100種類以上のタイプがあります。その中で16型、18型をはじめ10数種類が子宮頸がんに深く関係のあるタイプとして知られ、ハイリスク型のHPVといわれています。HPV検査では、主な原因となる13種類のハイリスク型HPVを検出することができます。
検査方法) 子宮頸がん検診(細胞診)と同時に行うことができます。2つの検査を併用することで検診の精度をあげられることがわかっています。
検査結果) 子宮頚部の細胞がHPVに感染していなければ「陰性」、感染していれば「陽性」と診断されます。
「陽性」の場合、細胞診の結果と併せて判断する必要があるので医師に相談しましょう。HPV検査が「陽性」であっても、将来子宮頸がんになる危険度をチェックする検査ですから、子宮頸がんになるということではありません。再検査や精密検査が必要と診断された場合は、医師の指示に従ってください。「陰性」の場合も、定期的に検診を受けるようにしましょう。
【HPVワクチンとは】
既に海外の100カ国以上で使用されているHPVワクチンが、ようやく日本でも2009年10月に承認されました。このワクチンは、子宮頸がんの原因となりやすいHPV16型、18型のウイルスに対する抗体をつくらせるワクチンです。半年間に3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。しかし、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。特に性交未経験の10代前半の女性に接種することが推奨されています。またワクチンを接種しても多くのタイプがあるHPVの全ての感染を防げるものではありません。
当会(本部)でもHPV検査およびHPVワクチン接種が可能となりました。
今後はワクチンで感染を予防するとともに、さらに定期的な検診を徹底していくことで、子宮頸がんの予防が可能になると考えられます。
事業場で実施している定期健康診断の項目に婦人科検診はありません。日本人の女性に増加している子宮がん、乳がんを予防・早期発見するためには婦人科検診を受けることが非常に重要です。定期的に受けておられない方はお住まいの市町村や自分が加入している健康保険組合にお問い合わせいただくと検診の実施状況や補助の仕組みがわかります。また当会でも子宮頸がんや乳がんの検診も実施しておりますのでお問い合わせの上受検をお勧めします。
<参考資料>
国立がんセンターがん対策情報センター がん情報サービス
OECD Health Data 2009-Version:June 09
国民生活基礎調査(平成19年)
産婦人科の実際 Vol.58 0.4 2009
http://www.aka-zukin.jp/index.html
http://cervarix.jp/basic_info/about_hpv/index.aspx
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