新年度を迎え、すでに健診を受診された方も多いと思います。健診は毎年同じ時期に受けられると思いますが、みなさんは年一回の健診をどのような気持ちで受けていらっしゃいますでしょうか。
「忙しいからさっさと終わらせたい!」あるいは「時間をかけても良いから全身くまなく調べてもらいたい。」など、いろんな思いで健診を受けに来られていると思います。
また、病気や検査の知識については、詳しい知識をお持ちの方や普段病気と縁がないのでよく知らないと話される方など健康観も千差万別です。
健診の目的は
1.生活習慣病をはじめ疾病の早期発見と早期の対策を行う。
2.定期的に健診を受けることで自分の体の変化を把握し、生活習慣を改善したり
改善の効果を確認する。
3.労働安全衛生法における健診では就業上の適切な措置を判断するために活用される。
以上のことがあげられます。
そこで今回は、健診に関心がある方もそうでない方も、健診を受けるにあたってこれだけは知っておいていただきたいというポイントを4点あげたいと思います。
1.健診機関の選び方
2.検査前に守っていただきたいこと(より正確な検査結果を出すために)
3.結果報告書から見ていただきたいこと
4.見つかった病気は早めに受診して対策を!(早めの対処で医療費を安く)
1.健診機関の選び方
健診機関の形態には、病院系列の1つとして健診部署があるところや健診のみの機関などがありますが、大切なのはある1つの機関を決めて常連客になることです。そうすると、健診結果の変化を以前の結果と比較して見ることができますので、病気を早期に発見でき易かったりライフスタイルを改善するきっかけになったりもします。
日本ではまだ検査法が統一されていませんので、機関ごとに検査試薬や測定方法が異なり、判定基準も違います。そのため、たとえ同じ人の血液でも異なる数値や判定が出てきたりします。
したがって頻繁に受診先を変えた場合、数値を見ても前年との正確な比較ができなくなる場合がありますので、検査を受ける機関はできるだけ1つに定めることをお勧めします。
また、検査機器や検査の精度が一定レベル以上にあるのか、医療の専門職のレベルはどうなのかなども大切な要件となります。受診機関が第3者の認証を受けているかなどもぜひ参考にされることをお勧めします。
2.検査前に守っていただきたいこと
1)絶飲食の原則
以下の注意事項は必ず守るようにしましょう。
(健診前夜のご注意)
夕食は午後9時ごろまでに消化のよいものをお召し上がりください。
お茶かお水は、就寝前(目安として午前0時)まで摂っていただいて結構です。
(健診当日のご注意)
水分・食事・ガム等を摂らず、また煙草も吸わないでください。
食事を抜くのは意外と苦しいものですが、大事な理由があります。
・飲食直後の血液は脂肪分などが浮遊していますので、検査しても正しいデータが得られないことがあります。
・胃の中に食物が入ると胆のうが胆汁を出して収縮しますので、腹部超音波検査では正確な画像が得られません。
・ガムやタバコは胃の壁を刺激して胃液がたくさん出てしまいますので、胃の壁にバリウムがつきにくくなり正確な画像が得られません。特にタバコは胃の痙攣や嘔吐反射が強くなりますので、胃カメラを受ける方も検査が終了するまでは禁煙してください。
2)薬は飲まないほうがよいか?
・血圧の薬...少量の水で服用可。
負荷心電図検査、肺機能検査、胃レントゲン検査などは、検査中に血圧が高くなる
場合がありますので、リスクを回避するために少量の水で飲んできていただくこと
をお勧めします。
・血の塊をできにくくする薬(抗凝固剤)や抗てんかん薬など
...主治医の指示がある場合は少量の水で服用可。
薬を服用しないことで症状が出る場合がありますので、必ず当日朝の薬を服用しな
くてもよいかどうか主治医に相談し、指示に従ってください。
3.結果報告書から見ていただきたいこと
まずは、以下の3点に注意してみてください。
1)自覚症状はないが、検査結果から精密検査や治療を必要とするものがあるかどうか。
2)すでに「異常あり」と指摘されている検査データが、前回のデータに比べて改善したのか悪化したのか。
3)「異常なし」と判定された検査結果でも、前回データに比べて改善したのか悪化したのか。 血糖、脂質などは、基準値の範囲内でもじわじわと右肩上がりになり、いずれ疾病と判断されるレベルまで上昇してくる場合があります。数値が毎年どう変動しているかを観察すること、すなわちデータを毎年、前年の結果と比較することは自分の健康状態を正しく把握し、より健康なライフスタイルを送るための重要な手がかりになります。
4.見つかった病気は早めに受診して治療を!(早めの対処で医療費を安く)
たとえば、糖尿病が見つかっても初期であれば、薬によるコントロールはほとんど必要ありません。日ごろの食事療法と運動療法で、糖尿病の進行は妨げることができます。つまり、お金をかけずに健康を維持することができるのです。しかし、そのまま放置して同じような生活を送り続けると、10年後には3大合併症である神経障害や網膜症、腎障害が起こってきます。その結果、医療費は莫大にかかってしまいます。
「再検査をお受けください」もしくは「精密検査をお受けください」というコメントがあった検査については、必ず早めに受診して病気の有無を確認し、もし病気が見つかればどう対処するのかをしっかり医師から聞きましょう。また、前回精密検査を受けて異常なしと言われていても人間の身体は変化していますので、その都度詳しい検査を受けておくことをお勧めします。
なお、がんや伝染性の病気が疑われた場合、重症の糖尿病や肝機能障害など早く精密検査を受けたほうがよい所見が発見された場合には、結果報告書が届く前に電話で当センターよりお知らせしております。もしも電話連絡を受けられたら軽く捉えずに速やかにご受診ください。
当総合健診センター職員一同、皆様が人間ドックや定期健康診断の結果を効果的に活用して、よりよい健康生活を送ることができますよう願っております。
参考文献:健康診断・人間ドック「気になる」疑問 鷲崎誠 角川書店
健康診断・人間ドックが病気をつくる 中原英臣 矢島新子 ごま書房